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実践ほいくのコツ、実例集

保育園のアレルギー対応ミスの事故

アレルギーへの対応は、子どもの生命に関わる問題です。各園でも対応が行われていると思いますが、ほんのささいな見逃しで、事故につながってしまうことがあります。

食物アレルギー 事故の対応と予防

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事故実例

年少クラスのYちゃん(3歳:卵と小麦の強いアレルギー有)
過去に重篤なショック状態(アナフィラキシーショック)を起こしたこともあり、入園時から園と保護者間で話し合って、病院で処方されたエピペン(緊急時の注射薬)が園の冷蔵庫に常備してあります。

昨年度までは乳児クラスにいたYちゃんのアレルギーの対応は、主担任のAさんが担当していました。
Yちゃんの給食・おやつの配膳は全てAさんが行い、その部分は絶対に補助やフリーの保育士には任せずにAさんが行う作業となっていました。
アレルゲン確認(指差し確認、複数職員での確認)は全員で行っていました。
また、対策としてYちゃんは他の子と同じテーブルに同じ椅子では座らせず、テーブル付きの椅子に座って食事をしました。こうすることでパッと見ただけで、彼女がアレルギー保有の子どもとわかるようにしていたのです。
Yちゃんは自宅から食べられる代替えのおやつ袋を毎日持参しており、乳児クラスの延長保育士にもその情報はしっかりと共有されていました。
18時半を周り、夕方のおやつの時間になると、その延長保育士が責任をもってYちゃんのおやつ袋を所定の位置に準備しました。
その時間帯までいるこの中で一番幼く、アレルギーのあったYちゃんが、18時半のおやつのテーブルでつく位置はいつもお誕生席と決まっていました。
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ここまでは昨年度の流れでした。Yちゃんも成長し幼児クラスに進級、担任も変わりました。
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年度始めに、各担任は自身の担任クラスの子どものアレルギーの情報についてしっかり熟知・周知します。しかし、母親の職務体系が少し変わり延長保育をほとんど利用しなくなりました。
新年度になってから1ヶ月半、Yちゃんは18時半のおやつの時間まで園に残ることはありませんでした。
ある日、幼児クラスになって初めて、Yちゃんが延長保育を利用しました。Yちゃんはもう赤ちゃん用のテーブル付きの椅子に座れる体格ではないので、他の子と同じように夕方のおやつの席につきました。
そして、4月から乳児クラスに新たに入園したFちゃん(2歳・強い大豆アレルギー有)が、毎日この時間まで保育園を利用するようになっていて、お誕生席はFちゃんの固定席になっていました。
Yちゃんは、他の子と同じ椅子で、誕生席に座るFちゃんの斜め横に座っている形ですね。
4月から登園を始めたFちゃんのお母さんはまだ園のシステムに慣れておらず、この日たまたま代替のおやつの用意を忘れていました。
そうとは知らない乳児クラスの延長保育士は、Fちゃんのおやつを給食室の棚や冷蔵庫に無いか、保育室を出て探しに行きました。
そのあいだにも数名の子どもが待ちぼうけになってしまうので、専任保育士は他の子ども達におやつを配り、いただきますの挨拶をし、食べさせ始めました。そしてうっかり、Yちゃんにも他の子と同じおやつを一緒に配ってしまったのです。
食べ始めた直後、乳児クラスの延長保育士が「Fちゃんのおやつ、無かったわ・・・」と部屋に戻り、Yちゃんが他の子と同じおやつをもぐもぐしているのに気付きましたが、時すでに遅し。
体には既にじんましんが出始めていました。
乳児クラスの延長保育士は、Yちゃんのアレルギーについてよく熟知しています。
すぐに吐き出させ、口の中を洗い、その場で出来る対処を迅速に行いました。
専任保育士と他の保育士は慌てふためいてしまい、二人同時に部屋を飛び出し、二人で冷蔵庫にエピペンを取りに行きました。
実はその時既に、Yちゃんの母親がお迎えに到着していました。担任の先生と、部屋の前の廊下で話をしていたのです。母親に、このバタバタを全て見られてしまったのです。急遽父親もすっ飛んできて、大きなクレームへと発展しました。

専任保育士もう一人の延長保育士の行動はどうだったでしょうか?

大人二人で走って取りに行っても、エピペンは一個です。
そしてエピペンの投与にはマニュアルがあり、投与は、看護師がいる時間帯は看護師・看護師が退勤しているこの時間帯は園長→もしくは副園長→もしくは主任、となっています。
なので、一人がエピペンを取りに行き、もうひとりは部屋の内線電話で職員室にいる園長・もしくは副園長にまず連絡するべきだったのです。
事故が起こった背景には、たくさんの偶然の重なりもありました。
・担任が変わったばかりで、Yちゃんが久しぶりに延長保育を利用するときにおやつ袋を2階の幼児クラスの部屋から下ろし忘れていた
・新年度直後はアレルギーの問題は全職員緊張感を持っていたが、1ヶ月半が経ち、緊張感が失われていた。
・延長時間に責任をもって担当していた乳児クラスの延長保育士の管理下を離れていた(幼児クラスに進級していたので)
・Yちゃんの座る位置が変わった
Fちゃんのおやつの事にみんなの目が向き、Yちゃんのアレルギーのことが忘れられていた
Fちゃんの対応で、Yちゃんのおやつ袋を定位置に用意する→食べさせるという流れが忘れられていた。
ついうっかり、が重なり、危うく大事故につながるところでした。
乳児クラスの延長保育士の対応は的確で迅速でした。お陰でYちゃんは大事には至らず、週明けにはいつもどおりに登園していました。
緊急時は、慌ててマニュアルも何も頭からすっ飛んでしまいがちですが、こういう時だからこそ、落ち着いた対処が出来るようにしたいものです。