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実践ほいくのコツ、実例集

園庭の外から子供が声をかけられたら

昨今、子どもを取り巻く環境は物騒になりつつあります。
子どもが狙われた犯罪が増えていく中、保育園や子どもを預かる施設での、防犯対策・不審者対策が急務となっています。以下のケース、経験したことはあるでしょうか?もしなければ、想像しながら読んでみてください。

実例:園庭の外から声をかけてきたおじいさん

保育園での園庭遊び・・・
子ども達は思い思いの場所へ散っていき、砂場遊びやジャングルジム、滑り台やアスレチックで遊んでいます。
園庭の柵の外はすぐ道路で、トラックなどが時折行き来して、好んで柵のそばで外を眺めている子どももいます。
そんな時、自転車に乗った高齢の男性が園の柵に近づいてきました。
そして柵のそばにいた女児に対し

 

「かわいいねぇ、どれ、こっちにおいで」




柵に手を差し入れ、手招きをしました。
女児はまだ2歳少々であり、不思議そうな顔をしながらも呼ばれた為に、柵から入れられた男性の手の方へ近づいていきました。

 

「おじょうちゃん、名前はなんていうの?」




女児はまだ発語が十分でない上、見知って慣れた人物でもない為か、何も答えられません。
男性は、節くれだった手で、女児の頭を撫で、手を掴んでいました。
その状態の時、やっと園庭にいた保育士が男性の存在に気がつき、女児に「○○ちゃん!」と、とっさに名前で呼んでしまいました。

 

「○○ちゃん、って言うのかい、かわいいねぇ」




男性の手は、女児の頭や手を撫で続けています。
この時、この保育士は

「どうしよう不審者だ!園児が身元も知れない男性に触れられている!すぐに引き離したい!」
「とっさに自分が呼んでしまったせいで、女児の名前を知られてしまった」
「不審者と断定し、離れてください!というのも、もし害のない人ならただ女児の稚さが可愛くてくれている近所の住人なら、むげな発言は失礼にあたってしまうだろうか・・・?」

 

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といういくつもの思いが交錯し、すぐに対策を取れなかったそうです。
その時、少し離れたところから、ベテランの保育士が大きな声で「みんなー!こっちで遊ぶよーー!」と全体に呼びかけました。
そしてサッと女児の傍(とはいえ3mほど離れた場所)から女児に「ほら、こっちで遊ぶよ」ときっぱりとした口調で言って、女児を園庭中央に誘導しました。
同時に高齢の男性には「どうもー」と、かるく会釈をして、引き離すことに成功しました。

「不審者だ!園児が身元も知れない男性に触れられていて、すぐに引き離したい!」
「とっさに言ってしまったせいで、外部の男性に女児の名前を知られてしまった」
「不審者と断定して離れてください!というのも、もし害のない人ならただ女児の稚さが可愛くてくれているなら、むげな発言は失礼にあたってしまうだろうか・・・?」
といういくつもの思いが交錯し、すぐに対策を取れなかったそうだ。

こう考えた保育士の気持ちもわかります。
保育士というのは人に見られる仕事です。
園の外を散歩していれば、すれ違う人にはたいていこんにちわと会釈をするくらい、人に見られることを気にします。
それは保育園という看板を背負っているからです。
高齢の方はたいてい散歩中の子ども達に、かわいいねぇと声をかけてくれます。
しかし、上のようなケースは、実際に子どもに触れてしまう所まで保育士の目の届かないところでされてしまい、非常に危険でした。
もし、悪意のある人物なら、そのまま柵越しに掴んだ子どもの手を掴み、怪我をさせたり柵から引きずり出されていた危険もあったのです。

または、携帯電話などで写真を撮られていたかもしれません。

このようなケースで、この高齢の男性にも失礼にならず、子どもを引き離す方法として、ベテラン保育士のした対応がベターでしたね。
「さ、こっちにおいで」と女児だけに言うのも、高齢の男性の気に障ってしまうかもしれませんから、全体への呼びかけに見せた事で、そう思われないような配慮をしたのです。
時に判断に迷うようなこんなケースがいつ起こってもいいように、実例として上記の話を紹介しました。

子ども自身が出来る不審者対策はあるの?

幼児クラスなどになれば、少しずつ子ども自身に判断力が付きますので避難訓練などで「見知らぬ人に声をかけられたら、逃げる・園の大人に知らせる」などの防犯対策を教えることが大事です。
上記のケースでは、女児はまだ2歳前後でした。
こうなると、人見知りでない限りは子どもは、大人に呼ばれたら素直に応じてしまいます。妙に人懐っこい子供もいますしね(笑)
緊急時、大人がどう動くか・対応するかは、日頃のロールプレイングやケース検討にかかっています。子どもを危険から守るために、きちんと防犯対策・不審者対策を取っておきましょう。