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実践ほいくのコツ、実例集

怒られたのを引きずり続ける子ども。保育士はどう対応する?

たくさんの育児書や育児法が世の中に溢れていますね。

保育士は専門の学校で学び、児童心理学などの理論的な基礎を学びます。

多少個人差はあれど、あまりに極端な保育観や、育児方針は、少なくとも保育の現場では行うことはありません。

でも、子どもの保護者は『これで良いのかな』『まちがってないのかな』と迷ったり苦しんでいることも多いもの。

そんなとき、書籍に答えを見つけようとする人も多くいます。

「全く叱らない子育て法」の解釈

これは、子どもの自主性を育てよう・個性を大切にしようといった目的のもののようです。

ただ、どうにも極端に捉えているような保護者も多く、親が本当に自分の子供を全く叱ったことがないというケースをいくつか見たことがあります。

親に一度も叱られたことのない4歳の男の子のケース

年中クラスから保育園に通い始めたTくん。

特別粗暴なわけでもなく、動きが大きくて目が離せない・・・というタイプではありませんでした。

それでも、年相応の好奇心や他の子の真似をしてつられたりもして、他の子と同じくらいのいたずらっ子でした。

ただ、ひとつ違ったのは…指摘やアドバイス、注意をすると、途端にパニックのようになり号泣すること。

そのあとは机や床に突っ伏したまま動けなくなり、次の活動に移れないないほどに落ち込む点でした。

初めてこれを見たとき、担任はTくんのあまりの変わりようにおどろき、保護者にお迎え時伝えたそうです。

すると保護者は「育児方針として、一切この子のやることを妨げたことがなく、叱ったこともない」と答えたのです。

保育園の集団生活の中で、まったく叱らない・注意をしないというのは難しいです。

人格形成や、人とのコミュニケーション、距離感を学ぶ大切な時期ということも話し、なんとか家庭と保育園の双方で状況を変えていければ・・・とやんわり伝えました。

それでも保護者は「うちでは育児方針を変えるつもりはないし、それで日常生活に支障は出たことがない」解決や改善に否定的です。

教育法は、子供の『これから』に負担になることも

お友達に乱暴をして回るような子にならなかったのは良かったんです。

でも、ちょっとしたルールの確認や注意ひとつで、こんなにも気分が落ち込み引きずってしまうのは困りものです。

善悪でなくとも、他人から注意を受ける状況は、この先どんどん出てきます。

ルールがある集団に交わると、善悪でなくてもそのルールを守れなかった時に注意を受けることがありますよね。

(日直や当番を忘れた、トイレに行きたくて廊下を走った、等)

その度にこのようにパニック的な反応になると、Tくん自身の気持ちの負担は計り知れません。

  • 保育園にいる年頃のうちに、集団環境に慣れていく
  • 叱られる=特別と捉えないように、小さなことから忠告やアドバイスをくり返す
  • 人格を否定した訳ではなく、行為を忠告されていると気付けるようにする

というのが担任の、Tくんへの生活目標になりました。

保育園にいる今の年頃のうちに、集団の環境に慣れていく

保育園というのは貴重な集団生活環境。

遊びを通じて学びがあり、身体をたくさん動かし、健やかに成長をしていける場所です。

学校に行ったら、座学の勉強が待っていて、成績の競争が待っていて、純粋に楽しく何かを学ぶという機会はやっぱり減ってしまいます。

コミュニケーション能力を培うのに、この保育園期を絶対に逃してはならない、と思いますw

叱られる=特別な事と捉えないように、小さなことから忠告を繰り返す

幸い年中クラスということで、Tくんには相応の理解力がありました。

クラスのお友達も先生に注意されている様子を見て「僕だけじゃない、ほかのお友達も、注意されたり、叱られたりしている」と周りの様子に気付いていけました。

人格を否定した訳ではなく、行為を忠告されていると気付けるようにする

自己肯定感が育ってくるように、「Tくん自身を拒否しているわけではないよ」という部分を、繰り返し伝えるようにしたのです。

それでもしばらくは、注意のたびに無気力になっていました。

そんな時は保育士からのアクション以外にも、お友達から声をかけさせる作戦で少しずつ状況は良くなっていったのでした。

このように、うまく周りの子ども達の働きかけがいい方向に動いたケースもあります。

保育士や大人だけでなく、「周りの友達」に一緒に協力してもらうという手もあります。

「お友達の様子を見て、声をかけてあげられた」いい影響がTくん以外の子にもあり、この年度の大きな収穫になりました。

ひとつのケースとして、最後まで読んでくださってありがとうございます。